小さい頃から人見知りをする性格だった。近所に住んでいるおばちゃんに話しかけられても、母や祖母の後ろに隠れてしまうような子どもだった。
それをさらに加速させたのが「顎変形症」という持病。噛み合わせが合わない口腔系の病気で、顎の骨が発達しすぎてしまったり、逆に発達しなかったりすることで起きる。
厄介なのはその病気のせいで顔に影響が出てしまうところ。私の場合は下顎が前に出てしまう症状だったのだが、当時中高生だった私はクラスでいじめの標的になる。もともと人と積極的に関わるタイプではなかったこの性格に拍車がかかった。みんなが私を見てコソコソと笑っていた。
大学一年生の時に骨を切って噛み合わせを正常の位置に戻すというハードな手術を終えた。手術後にはいいこともたくさんあった。それまでと比較できないくらい自分に自信を持つことができたし、好きなブランドでアパレルのアルバイトだって始められた。
このコンプレックスは解消しつつあるのだが、なにしろ人生の大半を手術をする前の顔で過ごしてきたので、たくさんの傷跡を抱えて生きている。他人の視線や他人が感じている痛みにも敏感になった。
この世界では、いろんな「あたりまえ」があまりにも多く存在する。顔や目の大きさ、ボディサイズ、美しいの基準って一体なんなんだろう。
「あたりまえ」とされている顔じゃなかったからこそルッキズムがいかに世の中に、一人ひとりに浸透しているのかを感じてきた。
その人の見た目に対して言う「かわいいね」「かっこいいね」に潜む暴力性。誰かが決めた基準に無理して合わせるなら、それを内面化して自分を責めるなら、そんなこと絶対にしなくていいと言える。昔の自分にも今まさに苦しんでいる人にも。
1回目のエッセイにしてはハードな内容だったかもしれないが、誰もが誰からも否定されない世界、そのために私はこれからも書き続ける。この場所も誰かにとってのセーフティーゾーンになったらうれしい。
Text Haruki
@__harukiii_
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